特集 腸内細菌研究の最前線 ―社会実装へ向けて
3.社会実装・リスク評価(1)腸内細菌叢タイプと疾患
髙木 智久
1,2
,
井上 亮
3
,
内藤 裕二
4
1京都府立医科大学大学院消化器内科
2京都府立医科大学大学院医療フロンティア展開学
3摂南大学農学部応用生物科学科動物機能科学研究室
4京都府立医科大学大学院生体免疫栄養学講座
キーワード:
腸内細菌叢
,
エンテロタイプ
,
Bifidobacterium属
Keyword:
腸内細菌叢
,
エンテロタイプ
,
Bifidobacterium属
pp.1363-1369
発行日 2025年9月20日
Published Date 2025/9/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000003651
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腸内細菌叢は健康や疾患に密接に関連することが明らかになりつつあり,その細菌叢の構成パターンに基づく「エンテロタイプ」の分類が注目されている.われわれは,日本人の腸内細菌叢に着目し,5つのエンテロタイプ(Type A~E)を提唱した.これらのタイプは欧米型と一部共通するが,ビフィズス菌の占有率が非常に高い日本人特有の型(Type D)も存在する.各タイプは食習慣と関連し,さらに疾患ごとの発症リスクとの関係性も異なることが示されており,とくにType CやDでは生活習慣病や消化管機能性疾患との関連が高かった.これらの知見は,エンテロタイプを活用した個別化健康管理や予防医療への応用を示唆するとともに,科学的根拠の明確なデータベース構築と社会実装の重要性を浮き彫りにしている.

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