特集 注目すべき高齢者の腹部救急疾患診療
3.外科の視点から(3)高齢者における緊急性の高い大腸癌外科治療戦略
康 祐大
1,2
1国際医療福祉大学医学部消化器外科
2国際医療福祉大学市川病院消化器外科
キーワード:
閉塞性大腸癌
,
金属ステント
,
bridge to surgery
,
高齢者
Keyword:
閉塞性大腸癌
,
金属ステント
,
bridge to surgery
,
高齢者
pp.441-448
発行日 2025年3月20日
Published Date 2025/3/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000003410
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高齢者の急性腹痛では進行大腸癌による腸閉塞や穿孔を鑑別に挙げる必要がある.閉塞性大腸癌においては高い周術期合併症と死亡率のため緊急切除手術は避けられ,待機手術への架け橋となる腸管減圧処置後にインターバルをおいて原発巣切除(bridge to surgery)が行われることが多い.そのなかで,金属ステントによる腸管減圧は高齢者においても安全に施行されており,QOL維持や予後改善にも有用な治療として期待されている.一方,自立排泄が行えない患者には永久的人工肛門造設が選択されることも多く,高齢者における治療戦略の適応決定には,癌の進行度や根治性のほかに患者の全身状態や余命期間などを考慮する必要があり,外科医との検討が不可欠である.大腸癌穿孔に対する手術においては,一期的な切除吻合を行うかHartmann手術を選択するかの明確な基準は定まっておらず,リンパ節郭清についても患者因子や術中所見を加味して総合的に判断する必要がある.

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