特集 IBD診療―ますます増えた薬剤の選択とさらなる進化の展望
3.これからの新しい医療に対する展望(2)便移植と腸内細菌療法
石川 大
1
1順天堂大学消化器内科細菌叢再生学講座
キーワード:
腸内細菌叢移植療法
,
抗菌薬併用FMT (A-FMT)
,
潰瘍性大腸炎
Keyword:
腸内細菌叢移植療法
,
抗菌薬併用FMT (A-FMT)
,
潰瘍性大腸炎
pp.189-198
発行日 2024年1月20日
Published Date 2024/1/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000002932
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近年,腸内細菌叢の乱れ(dysbiosis)とさまざまな疾患との関連が明らかになっており,dysbiosisの改善を目的とした便微生物叢移植(fecal microbiota transplantation;FMT)がdysbiosisに関わる疾患に対する根本的治療方法として注目され,炎症性腸疾患(IBD)など難治性疾患を対象に幅広く研究が行われている.本邦においても,近年急増する潰瘍性大腸炎(UC)患者への新しい治療選択肢として期待が高まっている状況であり,2023年1月から先進医療Bとして開始となった.われわれの施設では約240人のUC患者と,210人のドナーが参加し,その蓄積したデータを多角的に分析することにより治療メカニズムの解明と,より効果の高い手法について検討中である.本稿ではIBDに対するFMTの有効性について,既報と当施設での臨床研究の結果を併せて報告し,実装化,創薬など今後の展開について最新の知見を概説する.
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