特集 IBD診療―ますます増えた薬剤の選択とさらなる進化の展望
3.これからの新しい医療に対する展望(1)UCにおける抗インテグリンαvβ6自己抗体について
桒田 威
1
,
塩川 雅広
1
,
妹尾 浩
1
1京都大学大学院医学研究科消化器内科学
キーワード:
炎症性腸疾患
,
自己抗体
,
インテグリン
,
バイオマーカー
Keyword:
炎症性腸疾患
,
自己抗体
,
インテグリン
,
バイオマーカー
pp.181-188
発行日 2024年1月20日
Published Date 2024/1/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000002931
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潰瘍性大腸炎は原因不明の炎症性腸疾患であり,患者数は世界的に増加傾向にある.自己免疫機序による大腸のバリア機能破綻が病態に関与するとされているが,今日まで病因解明には至っていない.われわれは抗インテグリンαvβ6自己抗体がUC患者特異的に認められることを発見した.さらに抗インテグリンαvβ6自己抗体がUC患者の大腸上皮細胞に結合すること,インテグリンαvβ6-フィブロネクチン結合を阻害すること,その抗体価が疾患活動性と相関することを見出した.インテグリンαvβ6は上皮バリア機能維持に重要な役割を果たしており,抗インテグリンαvβ6自己抗体は潰瘍性大腸炎の診断・疾患活動性評価のバイオマーカーとして有用であるのみならず,病態形成に関与する新規治療ターゲットとなる可能性がある.
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