特集 急性膵炎診療ガイドライン改訂とPancreatitis Bundles を読み解く
9.胆石性膵炎の初期治療とフォローアップ ―胆囊摘出術のタイミングを含めて
平下 禎二郎
1
,
増田 崇
1
,
遠藤 裕一
1
,
岡本 和久
2
,
村上 和成
2
,
猪股 雅史
1
1大分大学医学部消化器・小児外科
2大分大学医学部消化器内科
キーワード:
胆石性膵炎
,
胆囊摘出術
,
急性膵炎
Keyword:
胆石性膵炎
,
胆囊摘出術
,
急性膵炎
pp.1077-1084
発行日 2023年6月20日
Published Date 2023/6/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000002721
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胆石性膵炎は胆管結石が十二指腸乳頭部に嵌頓して胆管と膵管の共通管を閉塞させることにより惹起される膵炎である.他の成因による急性膵炎と診療方針が異なる可能性があり,速やかな成因診断と治療方針の決定が必要である.「急性膵炎診療ガイドライン2021」では,胆管炎もしくは胆汁うっ滞所見を認め,胆管結石を認める症例には早期のERCP/ESTが推奨されている.結石の自然排石が疑われる症例では早期ERCP/ESTの有用性は否定的であるため,腹部超音波検査やCTにて結石がはっきりしない症例においては,EUSやMRCPが結石の描出率が高く有用である.胆石性膵炎はその原因となった胆囊結石に対する治療が行われない場合は,胆石関連合併症や膵炎再発の可能性が高く,胆囊摘出術を行う必要がある.ERCP/ESTのみでは膵炎再発防止にはなるが,胆石関連合併症への効果が乏しい.胆囊摘出術のタイミングに関しては,軽症の胆石性膵炎では発症後早期に行い,重症では膵炎の沈静化や液体貯留消失後,または4~6週以降の待機的胆囊摘出術が推奨されている.本稿では胆石性膵炎の初期治療とその後の胆囊摘出術について「急性膵炎診療ガイドライン2021」を中心として解説する.
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