特集 急性膵炎診療ガイドライン改訂とPancreatitis Bundles を読み解く
4.重症急性膵炎の担送基準と地域ネットワークの有用性
竹中 完
1
,
大本 俊介
1
,
工藤 正俊
1
,
松本 逸平
2
,
竹山 宜典
2
1近畿大学病院消化器内科
2近畿大学病院外科
キーワード:
急性膵炎
,
地域連携
,
地域医療
Keyword:
急性膵炎
,
地域連携
,
地域医療
pp.1041-1048
発行日 2023年6月20日
Published Date 2023/6/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000002716
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南大阪地域(面積880 km2,25の市町村,人口230万人)における各施設の急性膵炎に対する診療体制の現状の把握,施設間連携の問題点の抽出,連携の強化により,急性膵炎治療の地域連携モデル構築を試みた.南大阪地域101施設へ,年間診療膵炎患者数,各施設での対応可能な膵炎の診療内容,Pancreatitis Bundlesの使用率,受け入れの実際,高次施設への搬送における問題点などについてアンケート調査を行い,「急性膵炎地域連携構築会議」と称して各病院の医師(外科/救命科/内科),医療連携事務が参加する会合を年に一度開催し,地域の現状を把握するとともに搬送に有用な膵炎MAPを作成し,膵炎治療成績向上を図った.Pancreatitis Bundlesの使用率は2016年の29%から2022年は86%にまで上昇した.また,南大阪地域における急性膵炎死亡率も2019年の全体で1.5%,重症膵炎に限定すると16.2%から,2021年は全体で1.1%,重症膵炎7.9%と改善が認められた.南大阪膵炎MAPと,地域連携構築会議を毎年開催することで,南大阪地区において急性膵炎患者の地域連携が構築されつつあり,急性膵炎患者に対する治療成績の向上と予後の改善が期待される.
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