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急性膵炎重症度の早期診断
三木 一正
1
1東京大学第一内科
キーワード:
急性膵炎
,
TAP値
Keyword:
急性膵炎
,
TAP値
pp.742-743
発行日 1990年6月15日
Published Date 1990/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542900187
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急性膵炎の診断には緊急を要する場合が多い.また,その成因には多数の活性化膵酵素による全身の多臓器障害(multiple organ failure;MOF)が関与しており,急性膵炎の重症度判定や経過観察には,これら多因子の総合判定が必要である.したがって,急性膵炎を念頭におく場合は,膵リパーゼ,エラスターゼ,アミラーゼのほかに,アミラーゼアイソザイム,白血球数,CRP,胸・腹部単純X線写真,尿・血液生化学検査,CT, USなどを,病態に応じた治療を行いながら実施する必要がある1).臨床上,急性膵炎の重症型を早期診断できるような,簡便かつ信頼性の高い検査法の開発が待たれていたが,1988年Hurleyら2)により報告された尿中トリプシノゲン活性化ペプタイド(TAP)の測定法は,トリプシノゲンの活性化ペプタイド内の5つのアミノ酸よりなるペプタイド鎖(Asp-Asp-Asp-Asp-Lys)のC末端に対する特異抗体に基づくRIA法(測定限界;10-11mol/l)である.これらの抗体はトリプシノゲン蛋白とは結合せず,遊離のTAPとのみ結合する.膵臓内のトリプシノゲン活性化によって生じた遊離のTAPは腹腔内や大循環系に放出され,その後,速やかに腎で濾過され,尿中に排泄される.すなわち,膵臓トリプシノゲンの活性化の程度は,尿中TAPを測定することによって定量化しうるわけであり,このTAP値が急性膵炎重症度の早期診断に有用である.
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