特集 肝臓病学の未来―ウイルス性肝炎から脂肪肝と肝がんの時代へ
Overview:肝疾患の動向
脂肪肝は怖い病気なのか
角田 圭雄
1
,
川口 巧
2
,
江口 有一郎
3
,
中島 淳
4
,
米田 政志
1
1愛知医科大学内科学講座肝胆膵内科学
2久留米大学医学部消化器内科
3佐賀大学医学部肝疾患センター
4横浜市立大学肝胆膵消化器病学
キーワード:
肝線維化
,
糖尿病
,
肝細胞がん
,
FIB-4 index
Keyword:
肝線維化
,
糖尿病
,
肝細胞がん
,
FIB-4 index
pp.1059-1063
発行日 2019年5月1日
Published Date 2019/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika123_1059
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Summary
▪非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の予後は心血管イベント,他臓器がん,肝疾患関連死の順で,肝線維化の程度で予測される.
▪NAFLDにおける肝発がんリスクは非NAFLDよりも高いが1,000人年で0.2~0.4程度で,高度線維化(とくに肝硬変),高齢者,糖尿病合併例,FIB-4 index高値例,PNPLA3 GGホモ接合体で肝発がんリスクが高く,これらの症例では厳重なサーベイランスが必要である.
▪NAFLDでは糖尿病,慢性腎臓病の新規発症リスクが高く,左室拡張不全や動脈硬化性心疾患などの心血管疾患とも関連がある.
▪NAFLDでは肝細胞がんのみでなく,結腸直腸がん(男性),乳がん(女性)のリスクが約2倍高まることから他臓器がんにも注意を払うべきかもしれない.
▪肝線維化を有する症例は薬物療法の対象になり,現在肝線維化を標的とした種々の薬剤の開発が活況を呈している.
© Nankodo Co., Ltd., 2019