特集 NASH2018
10.NASH における肝癌発生の実態
伊藤 義人
1
,
山口 寛二
1
,
楳村 敦詩
1
,
森口 理久
1
,
原 祐
1
,
瀬古 裕也
1
1京都府立医科大学消化器内科学
キーワード:
非アルコール性脂肪肝炎
,
肝癌
,
糖尿病
,
PNPLA3
Keyword:
非アルコール性脂肪肝炎
,
肝癌
,
糖尿病
,
PNPLA3
pp.77-83
発行日 2017年12月20日
Published Date 2017/12/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000202
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
わが国の検診受診者におけるNAFLD 有病率は全体で30%程度である.HCC 発症率は低率でNAFLD を基礎疾患とするHCC はHCC 全体の2.0%程度と報告されている.肝硬変を伴うNASH からの年率肝発癌率は2~3%程度でC 型肝硬変より低い.HCC 全体に占める非B 非C 型HCC の割合は10%から20%以上にまで上昇し,その原因は肥満人口の増加にあると考えられている.男性のNAFLD‒HCC では肝硬変をベースにした患者が4 割程度と低率であり,メタボリック症候群がNAFLD/NASH の原因となるだけでなく肝発癌を直接的に促進している可能性が高い.糖尿病に伴う癌発生の相対リスクでHCC のリスクは2.5 ともっとも高い.PNPLA3遺伝子のrs738409 のリスクアレルであるG は肝脂肪化・線維化進展に加えてNASH‒HCC にも寄与する因子と考えられる.
Copyright © 2017, Nihon Medical Center, Inc. All rights reserved.