特集 ウイルス肝炎制御時代の肝発癌
1.ウイルス肝炎制御をめぐる疫学と最新動向(1)わが国におけるHCV感染症の疫学 ―最近の疫学とHCV eliminationの見通し
田中 純子
1
1広島大学大学院医系科学研究科疫学・疾病制御学
キーワード:
C型肝炎ウイルス
,
肝炎撲滅(排除)
,
NDB
Keyword:
C型肝炎ウイルス
,
肝炎撲滅(排除)
,
NDB
pp.865-872
発行日 2022年7月20日
Published Date 2022/7/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000002263
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世界保健機関(WHO)は,2030年までにウイルス肝炎のeliminationを目標として掲げている.日本におけるC型肝炎ウイルス感染状況,とくに持続感染者数(キャリア)については,厚労省肝炎疫学研究班が実施した大規模疫学研究の成果や政府統計・National database(NDB)等ビッグデータを含む疫学統計解析から,2000年169万~219万人から,2011年は98万~158万人(2000年比30~40%減),2015年は88万~130万人(2000年比40~50%減)と低下し,現在の状況が今後も続けば,2030年には,21万~48万人(2000年比80~90%減,2015年比60~80%減)にまで減少すると予想している.しかし,2019年12月以降のCOVID−19パンデミックは,受検,受診,受療やフォローアップ等に影響していると考えられ,ようやくみえてきた肝炎eliminationへの道筋に向けてこれまでの歩みを緩めない新たな取り組みが今後必要と考えられる.
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