特集 内視鏡検査で大腸癌の見落としゼロを目指して
4.見落とし病変と考えられた症例 ―症例から学んだこと(1)観察不十分による見落とし症例 ―その要因と対策を考察する
泉 敦子
1
,
斎藤 彰一
1
1がん研有明病院下部消化管内科
キーワード:
見逃し病変
,
反転観察
,
画像強調観察
,
サーベイランス
Keyword:
見逃し病変
,
反転観察
,
画像強調観察
,
サーベイランス
pp.689-696
発行日 2022年5月20日
Published Date 2022/5/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000002215
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消化管のなかでもとくに大腸病変では,屈曲や深いひだ,蠕動,前処置不良などを要因として盲点が生じ,病変の見逃しが生じることがある.当院の見落とし症例の検討では,深部結腸や横行結腸中央部,直腸-S状結腸移行部などに多く,ひだの裏や屈曲部に位置,強い蠕動や前処置不良,切除ポリープを把持しながらの観察などが見逃しの要因となっていた.また,小病変や平坦病変は病変の認識が難しいことで見逃しが生じた可能性が示唆された.見逃しを防ぐためのポイントとして,深部結腸での反転観察,体位変換,鎮痙薬の使用や温水洗浄で蠕動を抑制すること,画像強調観察の併用,フードの使用などが挙げられる.また,複数のポリープを認めた場合や切除したポリープを把持しながらの観察となった場合は,サーベイランスの期間を短くすることが推奨される.
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