特集 内視鏡検査で大腸癌の見落としゼロを目指して
見落とし病変と考えられた症例のまとめ ―症例から何を学んだのか
浦岡 俊夫
1
1群馬大学大学院医学系研究科内科学講座 消化器・肝臓内科学
pp.713-714
発行日 2022年5月20日
Published Date 2022/5/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000002219
- 有料閲覧
- 文献概要
「見落とし」とは,実際に視野に入っていながら発見できなかったことであり,後から振り返ったときや,しばらく後になって明らかになる.一方,「見逃し」は,目に入っていたがあえて見ぬふりをすること(見過ごし)と見たかったものが何らかの理由で見られなかったという二つの意味がある.大腸がんスクリーニング内視鏡上,前者はありえないとして,後者は大腸特有の解剖・構造がその理由となりうる.大腸内視鏡検査後に発見された大腸癌であるpost-colonoscopy colorectal cancer(PCCRC)は,前回の内視鏡検査から新たな大腸癌の発見までが短期間であれば正しく「見落とし」「見逃し」の結果であり痛恨の極みである.PCCRCはなくしていかなければならず,そのためにはスクリーニング内視鏡自体の質や検査間隔を含めた体制を改めて評価し,痛恨の極みは教訓として広く発信する必要があるかと思う.
Copyright © 2022, Nihon Medical Centers, Inc. All rights reserved.