特集 肝不全・肝硬変に対する再生療法―最先端の今
4.開発中の肝再生医療(9)幹細胞生物学と細胞シート工学の技術を融合した新しい形の肝再生療法
板場 則子
1
,
汐田 剛史
1
1鳥取大学医学部ゲノム再生医学講座遺伝子医療学分野
キーワード:
肝細胞分化誘導技術
,
温度応答性細胞シート
,
間葉系幹細胞
,
肝線維化
,
マトリックスメタロプロテアーゼ
Keyword:
肝細胞分化誘導技術
,
温度応答性細胞シート
,
間葉系幹細胞
,
肝線維化
,
マトリックスメタロプロテアーゼ
pp.1700-1706
発行日 2021年11月20日
Published Date 2021/11/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000002037
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末期肝硬変に対し,肝移植は優れた治療法であるが,慢性的なドナー不足のため幹細胞を用いた再生医療の登場が期待される.しかし,広範で高度な機能を有する肝臓の再生医療は容易でなく,むしろ病態を改善する高機能細胞の作製と効果的な移植法の確立が必要である.筆者らは,幹細胞生物学の基礎研究より,間葉系幹細胞の肝細胞化を誘導する低分子薬IC-2を創製し,温度応答性培養皿による細胞シート技術を活用した肝疾患治療用細胞シートを開発した.本細胞シートは,幹細胞生物学と細胞シート工学の技術を融合した新しい形の肝再生療法であり,肝コラーゲンの合成抑制と分解促進の両面よりの強力な肝線維化抑制作用を有し,新規の肝硬変の治療法として実用化が期待される.
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