特集 肝不全・肝硬変に対する再生療法―最先端の今
4.開発中の肝再生医療(2)乳歯歯髄由来幹細胞の培養上清(SHED—CM)を用いた肝再生療法の可能性
伊藤 隆徳
1
,
武藤 久哲
1
,
田中 卓
1
,
中村 正直
1
,
本多 隆
1
,
石上 雅敏
1
,
藤城 光弘
1,2
1名古屋大学大学院医学系研究科消化器内科学
2東京大学大学院医学系研究科消化器内科学
キーワード:
乳歯歯髄由来幹細胞無血清下培養上清
,
間葉系幹細胞
,
マクロファージ
,
腸肝相関
,
可溶性シアル酸認識免疫グロブリン様レクチン-9
Keyword:
乳歯歯髄由来幹細胞無血清下培養上清
,
間葉系幹細胞
,
マクロファージ
,
腸肝相関
,
可溶性シアル酸認識免疫グロブリン様レクチン-9
pp.1653-1659
発行日 2021年11月20日
Published Date 2021/11/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000002030
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ヒト脱落乳歯歯髄由来幹細胞(SHED)は,優れた増殖能と多分化能を示す間葉系幹細胞(MSC)の一種である.その無血清下における培養上清(SHED-CM)はHGFをはじめとした成長因子など多くの液性因子を豊富に含んでおり,多くの難治性疾患に対して有望な治療法となる可能性がある.急性肝不全(ALF)や肝硬変においても,動物モデルを用いた研究にてSHED-CM静脈内投与は,肝内における抗炎症・抗線維化,腸管バリアの保護などによる多面的な病態改善効果を示す.さらにSHED-CM内に含有される肝炎病態改善に重要な因子であるMCP-1・sSiglec-9は肝内マクロファージ極性を転換することにより,肝細胞の保護・再生効果を示すことが明らかとなってきた.
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