特集 門脈圧亢進症に対する診療
3.門脈圧亢進症のおもな合併症―診療の実際(5)胸水・腹水
瓦谷 英人
1
,
𠮷治 仁志
1
1奈良県立医科大学消化器内科学講座
キーワード:
胸水
,
腹水
,
門脈圧亢進症
,
トルバプタン
,
アルブミン
Keyword:
胸水
,
腹水
,
門脈圧亢進症
,
トルバプタン
,
アルブミン
pp.1526-1532
発行日 2021年10月20日
Published Date 2021/10/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000001999
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胸水・腹水は,非代償性肝硬変の重要な合併症の一つである.肝性腹水治療の第一選択薬はスピロノラクトンである.コントロール不良時にはフロセミドなどのNa排泄型利尿薬が主として使用されていた.水利尿薬であるトルバプタンの登場により,その治療方針に大きなパラダイムシフトが起こった.低Na血症,腎機能障害の進行が肝硬変の予後を左右するため,近年は肝性腹水治療において腎機能保護を念頭におき,スピロノラクトンでコントロール不良の際はフロセミドの上乗せは少量にとどめ,腎機能の良好な状態で早期のトルバプタン導入が勧められる.利尿薬でコントロール不良の難治性腹水の治療には穿刺治療を主体とした侵襲的な処置が行われる.胸水・腹水治療の戦略を2020年に改訂された「肝硬変診療ガイドライン2020」に沿って概説する.
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