増大号 検査血液学レッスン 検査結果の乖離をどう判断するか
4章 凝固
—FDPやDダイマーの上昇—腹水・胸水由来
窓岩 清治
1
1東京都済生会中央病院臨床検査医学科
キーワード:
腹水
,
胸水
,
フィブリン/フィブリノゲン分解産物(FDP)
,
Dダイマー
,
偽高値
Keyword:
腹水
,
胸水
,
フィブリン/フィブリノゲン分解産物(FDP)
,
Dダイマー
,
偽高値
pp.1248-1251
発行日 2022年10月15日
Published Date 2022/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542203147
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はじめに
腹水や胸水貯留は,さまざまな疾患によって体腔内に生理的な量を超えて体液が貯留した病態である.腹水や胸水貯留は患者の循環器・呼吸器系に大きな負荷を及ぼすことがあるため,穿刺などによる迅速な診断と適切な治療が求められる.一方で,体液の貯留をきたす患者では,凝固線維素溶解(以下,凝固線溶)系の活性化の指標であるフィブリン/フィブリノゲン分解産物(fibrin/fibrinogen degradation products:FDP)やDダイマーの増加を示すことがある.腹水や胸水貯留の貯留をきたす基礎疾患は,同時に凝固線溶系の活性化を伴うような病態であることも多く,FDPやDダイマーの上昇のみから患者の凝固線溶病態を正確に把握することは容易ではない.
本稿では,腹水および胸水貯留に伴う血液凝固線溶系の病態とともに,FDPやDダイマーの生成機序と解釈について概説する.
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