特集 胆道感染症の診断・治療
15.無石胆囊炎
塩見 英之
1
1兵庫医科大学病院肝胆膵内科
キーワード:
無石胆囊炎
,
急性胆囊炎
,
壊疽性胆囊炎
,
胆道系悪性腫瘍
,
胆汁うっ滞
Keyword:
無石胆囊炎
,
急性胆囊炎
,
壊疽性胆囊炎
,
胆道系悪性腫瘍
,
胆汁うっ滞
pp.1207-1213
発行日 2021年7月20日
Published Date 2021/7/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000001917
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無石胆囊炎は,有石胆囊炎に比較して予後が不良とされる.その理由として,挿管や鎮静処置などにより意思疎通の難しい重症患者に発症することが多く臨床徴候の把握が困難なこと,壊疽性胆囊炎や胆囊穿孔を併発しやすく容易に重症化することなどが挙げられる.成因としては,大手術後や長期絶食などによる胆囊の運動低下に伴う胆汁うっ滞,ショックや血管炎などによる胆囊壁の血流障害に伴う胆汁うっ滞,胆道系悪性腫瘍による閉塞に伴う胆汁うっ滞が挙げられる.診断には,腹部超音波検査や造影dynamic CT検査が必須とされているが,単独では正診率はそれほど高くないため,臨床徴候と併せて総合的に判断することが重要である.治療は,基本的に有石胆囊炎と同様であるが,重篤な背景疾患を有する症例が多いため,各病態に応じて治療方針を慎重に決定する.治療介入の遅れは予後不良因子の一つであるため,早期の適切な診断と治療が不可欠である.
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