特集 感染症と消化器 ― 診断と治療:感染症専門医から消化器内科医へのアドバイス
2.消化器領域で重要な微生物感染症の特徴(3)腸球菌感染症
三村 一行
1
1埼玉医科大学総合医療センター総合診療内科・感染症科
キーワード:
腸球菌
,
胆道感染症
,
腹膜炎
,
ソース・コントロール
Keyword:
腸球菌
,
胆道感染症
,
腹膜炎
,
ソース・コントロール
pp.290-295
発行日 2021年2月20日
Published Date 2021/2/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000001701
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腸球菌は,糞便の細菌叢の一部を構成しているグラム陽性連鎖球菌である.本菌が健常人に感染症を生じさせることはまれであり,多くは免疫不全者,消化管や泌尿生殖器などに生体機能障害が存在している患者,医療器具が留置されている患者などに,尿路感染症や胆道感染症,腹腔内感染症,創部感染症そしてまれに菌血症/敗血症,感染性心内膜炎,髄膜炎などを引き起こす.臨床上は,おもにペニシリン系薬で治療するEnterococcus faecalisと,バンコマイシンで治療するEnterococcus faeciumが重要である.腸球菌は病原性が強くないため,本菌が胆汁や腹水培養から検出された場合でも,起因菌であるかどうかは,患者背景や重症度,ソース・コントロールなどを考慮したうえで検討することが重要である.
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