シリーズ最新医学講座・Ⅱ 耐性菌の基礎と臨床・4
主として院内感染で問題となる耐性菌・3
腸球菌(基礎編)
花木 秀明
Hideaki HANAKI
キーワード:
腸球菌
,
VRE
,
簡易検出法
Keyword:
腸球菌
,
VRE
,
簡易検出法
pp.586-590
発行日 2006年5月15日
Published Date 2006/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100100
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腸球菌とは?
腸球菌は,Lancefield D群に属す通性嫌気性,カタラーゼ非生産グラム陽性球菌であり,ブドウ糖,マルトース,乳糖,白糖を分解し,60℃で30分の加熱に耐える細菌である.また,エスクリンの加水分解能力があるため,この特徴を腸球菌の鑑別に用いている.腸球菌には,Enterococcus faecalis,E. faecium,E. avium,E. casseliflavus,E. gallinarum,E. flavescensなど合計19種が含まれる.
病原性
腸球菌はわれわれの腸管内に存在する常在菌の一種であり,病原性は極めて弱い細菌である.しかし,重篤な基礎疾患を有す免疫不全患者,侵襲性の大きな外科手術後の患者,カテーテル留置症例などに感染を起こすことがごく稀にある.これらは血流感染,手術部・腹腔内感染,尿路感染,カテーテル感染などとして現れ,敗血症,感染性心内膜炎や髄膜炎などの重症感染症に発展する場合もある.
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