特集 除菌後時代を迎えた胃癌診療 ―残された課題を巡って
1 .除菌後胃癌を巡る課題(3)除菌後胃癌の診断を巡って e.除菌後胃癌―診断困難例を巡って ② 除菌による側方進展への影響
伊藤 信仁
1
,
舩坂 好平
2
,
古川 和宏
1
,
角嶋 直美
1
,
中村 正直
1
,
藤城 光弘
1
1名古屋大学消化器内科
2藤田医科大学消化器内科Ⅰ
キーワード:
除菌後胃癌
,
demarcation line
,
胃炎類似所見
,
Helicobactor pylori
,
早期胃癌
Keyword:
除菌後胃癌
,
demarcation line
,
胃炎類似所見
,
Helicobactor pylori
,
早期胃癌
pp.1459-1464
発行日 2020年10月20日
Published Date 2020/10/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000001420
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VS classification system,MESDA‒G は病変の存在診断,およびdemarcationline による範囲診断を行うための有用なアルゴリズムである.しかしながらHelicobacter pylori 除菌後にはdemarcation line が不明瞭となる胃癌が増加し,範囲診断困難例をしばしば経験する.除菌後胃癌の病理学的特徴に胃炎類似所見が報告されており,われわれの検討でも除菌後胃癌の40%に認めた.除菌後胃癌の範囲診断を困難にする,つまりdemarcation line を不明瞭にする要因を多変量解析したところ,この胃炎類似所見と除菌後経過年数が関係していた.2013 年Helicobacter pylori 感染胃炎に除菌適応が拡大されて以降,幅広く除菌治療が行われている.今後ますます除菌後胃癌が増加してくると予想されるため除菌後に起こる粘膜変化に留意し,陰性生検も考慮し範囲診断を行う必要がある.
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