特集 除菌後時代を迎えた胃癌診療 ―残された課題を巡って
1 .除菌後胃癌を巡る課題(2)H. pylori 感染胃炎からの発癌と除菌後胃癌発生機序 ―H. pylori 除菌後胃癌発生における分子機構
福田 昌英
1
,
牛島 俊和
1
1国立がん研究センター研究所エピゲノム解析分野
キーワード:
H. pylori 除菌
,
胃癌
,
エピゲノム
Keyword:
H. pylori 除菌
,
胃癌
,
エピゲノム
pp.1415-1420
発行日 2020年10月20日
Published Date 2020/10/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000001414
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Helicobacter pylori(H. pylori)感染によって引き起こされた持続的な慢性炎症は点突然変異,DNA メチル化異常を誘発する.TP53,ARID1Aなどの点突然変異は非癌部の胃粘膜にも認められ,蓄積された癌遺伝子変異の活性化や癌抑制遺伝子の不活性化により胃発癌につながるとされる.CDH1,MLH1,CDKN2A などの癌抑制遺伝子のDNA メチル化異常による不活性化も非癌部胃粘膜に認められ,胃発癌につながる.他の癌にくらべて胃癌の場合は,DNA メチル化異常の関与のほうが大きいことが示唆されている.今後,DNA メチル化レベルによるH. pylori 除菌後健康人の胃発癌リスク層別化が期待される.
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