特集 B 型肝炎Trends & Topics
2 . B型肝炎ウイルスの感染・複製機構:なぜHBV 排除は困難なのか
五十川 正記
1
,
田中 靖人
1
1名古屋市立大学大学院医学研究科病態医科学
キーワード:
複製
,
cccDNA
,
免疫寛容
Keyword:
複製
,
cccDNA
,
免疫寛容
pp.137-145
発行日 2020年1月20日
Published Date 2020/1/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000001044
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B型肝炎ウイルス(HBV)は非常に小さなDNAウイルスであり,限られたゲノム情報を効率的に利用して複製する.HBVによる持続感染が一度成立すると,ウイルス排除は困難となる.そのもっとも重要な因子が,きわめて安定でHBV複製の鋳型として働くcccDNA(covalentry closed circular DNA)の存在である.現段階ではcccDNAをもっとも効果的に排除する方法は宿主免疫応答による感染肝細胞の破壊である.しかしながら,この免疫応答はHBV持続感染患者においては脆弱であり,HBVに対して免疫寛容の状態にある.この免疫寛容の誘導にも,HBVのユニークな感染・複製機構が重要な役割を果たしている.
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