肝臓を診る-肝臓病のキモ 肝疾患各論
B型慢性肝炎 複雑さを増すB型肝炎診療,今の時代のエッセンス
黒崎 雅之
1
,
泉 並木
1武蔵野赤十字病院 消化器科
キーワード:
Alanine Transaminase
,
Interferons
,
肝炎-B型
,
B型肝炎ウイルス
,
保菌者状態
,
免疫
,
免疫寛容
,
肝炎-B型-慢性
,
Entecavir
,
Tenofovir
,
Tenofovir Alafenamide
Keyword:
Tenofovir
,
Alanine Transaminase
,
Carrier State
,
Immune Tolerance
,
Immunity
,
Hepatitis B
,
Hepatitis B virus
,
Interferons
,
Hepatitis B, Chronic
,
Entecavir
,
GS-7340
pp.1107-1113
発行日 2017年6月1日
Published Date 2017/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2017264369
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
HBe抗原陽性で肝障害がない無症候性キャリアと,HBe抗原が陰性化,HBV DNAが低下し,ALTが持続的に正常になった非活動性キャリアは治療対象ではない.慢性肝炎の治療対象は,ALT 31U/L以上かつHBV DNA 4 log copies/mL(2,000IU/mL)以上である.慢性肝炎よりも病期が進行した肝硬変はHBV DNAが陽性であれば,ALT値にかかわらず治療対象となる.患者がどの病期にいるのかの見極めが「キモ」である.抗ウイルス治療薬のインターフェロンに反応する症例は約20%だが,反応例ではHBs抗原陰性化率が高い.核酸アナログ治療では約90%でHBV DNAが陰性化するが,投与中止による再燃率が高いため長期継続投与が必要であり,HBs抗原量の低下が少ない.このように特性が大きく異なる治療薬の使い分けが「キモ」である.日本肝臓学会による「B型肝炎治療ガイドライン」がwebで公開されている(https://www.jsh.or.jp/medical/guidelines/jsh_guidlines/hepatitis_b).
©Nankodo Co., Ltd., 2017