特集 腹膜炎・腹水に対する診療の進歩
3 .悪性腫瘍に伴う腹膜炎・腹水の診療(2) 消化管癌による癌性腹膜炎
吉田 俊太郎
1
,
石神 浩徳
2
,
小池 和彦
1
1東京大学消化器内科
2東京大学外来化学療法部
キーワード:
消化器癌
,
癌性腹膜炎
,
腹膜播種
,
腹腔内化学療法
Keyword:
消化器癌
,
癌性腹膜炎
,
腹膜播種
,
腹腔内化学療法
pp.1011-1017
発行日 2019年6月20日
Published Date 2019/6/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000850
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消化管癌は悪性腫瘍のなかでも重要な疾患であり,一部に腹膜播種を伴う.腹膜播種を伴った状態の,いわゆる癌性腹膜炎として診断された場合に,その予後は非常に厳しく,現状の全身化学療法や,腹腔内温熱化学療法を併用した腫瘍切除術などの有用性も明らかではない.本病態に対して,腹腔内ポートを使用したタキサン系薬剤による腹腔内化学療法と全身化学療法との併用療法の開発が進んでいる.とくに胃癌において有用であり,今後のその治療を軸とした新たな治療戦略が期待されている.癌性腹膜炎は消化管や胆道系において,通過障害もきたすことがあり,外科的ドレナージだけでなく内視鏡的ドレナージも重要となるため,さまざまな科の連携による治療方針の決定が重要である.
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