特集 リンチ症候群と遺伝性消化管ポリポーシス
3.リンチ症候群(2)リンチ症候群の臨床―外科的立場から
石田 秀行
1
,
近 範泰
1
,
伊藤 徹哉
1
,
山本 梓
1
,
鈴木 興秀
1
,
石橋 敬一郎
1
1埼玉医科大学総合医療センター消化管・一般外科
キーワード:
リンチ症候群
,
大腸癌
,
異時性大腸癌
,
結腸全摘術
Keyword:
リンチ症候群
,
大腸癌
,
異時性大腸癌
,
結腸全摘術
pp.653-659
発行日 2019年5月20日
Published Date 2019/5/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000762
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リンチ症候群患者の70 歳までの累積大腸癌発生率は原因遺伝子によって異なり,10~46%と報告されている.初発大腸癌術後の異時性大腸癌も高率に発生するが,リンチ症候群の大腸癌に対する最適な術式は未だ確定していない.最近の研究では,初発大腸癌に対する広範切除は区域切除より有意に異時性大腸癌の発生率が低いが,生存率は同等であることが示されている.初発が直腸癌の場合の術式については報告がきわめて少ないため,一定の見解は得られていない.大腸癌に対する術式は,リンチ症候群の確定診断と手術のタイミング,年齢,原因遺伝子の種類,期待される術後のquality of life によって影響されうる.遺伝学的にリンチ症候群が確定している患者の大腸癌の術式選択については,術前に十分なインフォームド・コンセントが必要である.
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