特集 肥満と消化器
3 .肥満と消化器疾患(1)肥満と食道疾患―肥満とGERD の関連を中心に
田邊 智英
1
,
岩切 勝彦
1
1日本医科大学消化器内科学
キーワード:
胃食道逆流症
,
バレット食道
,
バレット腺癌
Keyword:
胃食道逆流症
,
バレット食道
,
バレット腺癌
pp.383-387
発行日 2019年3月20日
Published Date 2019/3/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000708
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胃食道逆流症(GERD)はおもに胃酸逆流により発症する疾患である.胃酸逆流の多くは健常者,GERD 患者ともに嚥下とは無関係に起こる下部食道括約筋(LES)弛緩時に発生する.一過性LES 弛緩を誘発する因子は胃伸展刺激であるが,肥満者では腹腔内圧の上昇に伴い一過性LES 弛緩頻度が有意に増加する.そのため,BMI が25 以上の肥満GERD 患者の治療の基本は適正体重への減量である.また肥満者では腹腔内圧増加に伴い食道裂孔ヘルニアが形成されやすく,ヘルニア囊内に胃酸が存在する場合には一過性LES 弛緩時の胃酸逆流合併率が増加する.バレット食道の発生には胃酸,胆汁逆流の関与が考えられており,バレット食道およびバレット腺癌発症の有意な危険因子は肥満である.
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