特集 肥満と消化器
2 .肥満と全身性疾患(2)肥満とがん
武藤 倫弘
1
,
藤井 元
2
,
中釜 斉
3
1国立がん研究センター社会と健康研究センター予防研究部
2国立がん研究センター研究所RI 実験施設
3国立がん研究センター
キーワード:
肥満関連がん
,
身体活動
,
食事介入
,
化学予防薬
Keyword:
肥満関連がん
,
身体活動
,
食事介入
,
化学予防薬
pp.377-382
発行日 2019年3月20日
Published Date 2019/3/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000707
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わが国において肥満や過体重の人口は増加の一途を辿っており,肥満関連がん患者数のさらなる増加が懸念される.肥満病態では肥大化した白色脂肪細胞により分泌されるアディポサイトカインや免疫細胞の質的・量的な変化により,穏やかな全身炎症状態(LGSI)が誘導される.また肥満を原因とするインスリン抵抗性の惹起も,腫瘍微小環境における炎症進行,細胞増殖/抗アポトーシス活性,脆弱な血管新生を介して腫瘍増殖促進的に作用する.一方,肥満抑制効果のある運動や食事介入は,がん関連分子の全身的な発現レベルを低下させ,腫瘍微小環境の改善を促すことで,腫瘍発生に対し予防的に作用する.運動や食事介入を補う有用な手段として,がん化学予防の利用も検討に値しよう.
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