膵癌update
Ⅲ 治療 ⑤術後補助療法
伊藤 貴明
1
,
杉浦 禎一
1
,
岡村 行泰
1
,
山本 有祐
1
,
蘆田 良
1
,
坂東 悦郎
2
,
塩見 明生
2
,
寺島 雅典
2
,
上坂 克彦
1
1静岡県立静岡がんセンター肝胆膵外科
2静岡県立静岡がんセンター消化器外科
キーワード:
膵癌
,
術後補助療法
,
S—1
,
ゲムシタビン
Keyword:
膵癌
,
術後補助療法
,
S—1
,
ゲムシタビン
pp.838-842
発行日 2018年5月25日
Published Date 2018/5/25
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000400
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膵癌に対する根治的な治療法は手術のみであるが,切除の対象となる症例は20~30%にとどまる.また,仮に肉眼的に癌遺残なく切除できても,手術単独治療ではその5年生存率は10%程度である.外科的切除後の生存成績向上のためにさまざまな手術の工夫がされてきたが,徹底したリンパ節郭清,神経叢郭清を含む広範な後腹膜郭清の有効性は複数の臨床試験により否定された.一方で,術後補助化学療法は切除後の治療成績を大きく向上させた.とりわけ,ドイツを中心に行われた手術単独療法に対するゲムシタビン(Gemcitabine;GEM)による術後補助療法の有効性を検証したCharité Onkologie(CONKO)‒001試験(2007年,2013年)と,本邦で行われた膵癌術後補助療法におけるGEMとS‒1を比較した第Ⅲ相無作為化比較試験(Japan Adjuvant Study Group of PancreaticCancer 01;JASPAC 01試験)の二つは,わが国の膵癌外科治療に大切な影響を与えた.本稿では,膵癌術後補助療法の歴史を述べつつ,現在の術後補助療法における標準治療について概説する.
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