膵癌update
Ⅲ 治療 ④膵癌に対する術前補助療法
元井 冬彦
1
,
海野 倫明
1
1東北大学大学院消化器外科学分野
キーワード:
膵癌
,
切除企図
,
術前補助療法
Keyword:
膵癌
,
切除企図
,
術前補助療法
pp.831-837
発行日 2018年5月25日
Published Date 2018/5/25
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000399
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膵癌は根治切除後も短期間で高頻度に再発するため,手術だけで長期生存を得るのは困難である.術後補助化学療法により,無再発生存期間が延長し,生存率が向上することが示されている.2007年に報告されたCONKO‒001試験では,術後半年間のゲムシタビン療法により,切除単独に比べ生存率・生存期間が有意に改善した.さらにJASPAC 01試験では,術後半年間のS‒1療法により,術後ゲムシタビン療法に比べ,生存率・生存期間が有意に改善することが報告された.欧州では,ESPAC‒4試験で,術後半年間のゲムシタビン+カペシタビン併用療法が,術後ゲムシタビン療法に比べ,生存率・生存期間が有意に改善することが報告されている.適切な術後補助療法を実施することで,切除された膵癌の予後は近年明らかに改善しており,現在の切除企図膵癌の標準治療は,切除先行+術後補助化学療法と考えられている.
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