膵癌update
Ⅱ 診断 ⑤CT診断
蒲田 敏文
1
,
香田 渉
1
,
小坂 一斗
1
,
井上 大
1
,
米田 憲秀
1
,
北尾 梓
1
1金沢大学附属病院放射線科
キーワード:
膵癌
,
進展度診断
,
MDCT
,
ダイナミックCT
Keyword:
膵癌
,
進展度診断
,
MDCT
,
ダイナミックCT
pp.779-788
発行日 2018年5月25日
Published Date 2018/5/25
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000390
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膵癌は95%が腺管癌(adenocarcinoma)であり,線維性間質に富み浸潤性発育を示す.膵外浸潤を示すような大きな膵癌は単純CTでも腫瘤を同定できることもある.しかし,手術適応となるような比較的小さな腫瘍を単純CTのみで指摘することはまず不可能であるといわざるをえない.膵癌が主膵管を閉塞させると,尾側の膵管拡張と膵萎縮いわゆる随伴性慢性膵炎が生じる.したがって,単純CTを読影する際には腫瘍自体を同定することより,膵管拡張やアンバランスな膵実質の萎縮などに注意を向ける必要がある.また,膵癌による膵管閉塞に伴って急性膵炎を発症する場合がある.膵周囲の脂肪織濃度上昇や滲出液貯留,前腎筋膜肥厚などの急性膵炎を示唆する所見は単純CTでも指摘可能である.しかしながら,急性膵炎の原因となる膵癌自体の早期発見には単純CTでは不十分であり,ヨード造影剤の急速静注によるダイナミックCTが必須である(図1).
近年,CT装置は64~320列の多列CT(multidetector row CT;MDCT)が標準である.しかしながら,膵癌の精査のためのCT検査においては従来の撮影方法のままでは,MDCTの能力を十分活かすことができない.膵癌の検出能や進展度診断能を向上させるには,十分量の高濃度ヨード造影剤を急速に静注し,薄いスライス厚で,多相のダイナミックCTを行う必要がある.
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