特集 NASH2018
11.NASH の治療はどこまで進歩したか (2)抗酸化薬による治療
池嶋 健一
1
1順天堂大学大学院医学研究科消化器内科学
キーワード:
酸化ストレス
,
活性酸素種
,
自然免疫
,
肝線維化
,
ビタミンE
Keyword:
酸化ストレス
,
活性酸素種
,
自然免疫
,
肝線維化
,
ビタミンE
pp.93-99
発行日 2017年12月20日
Published Date 2017/12/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000204
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活性酸素種(ROS)過剰産生による酸化ストレスがNASH の病態には大きく関与している.肝細胞では,代謝負荷に伴うミトコンドリア電子伝達系からの電子漏出や,マイクロソーム・ペルオキシソームでの脂質β酸化亢進などによるROS 過剰産生によって酸化ストレスが生じる.また,肝微小環境は自然免疫系賦活に伴うKupffer 細胞や浸潤白血球からのROS 産生により,さらに強い酸化ストレスに晒される.ROSは肝星細胞を活性化して肝線維化を惹起するのみならず,肝発癌過程においても重要なトリガーとなる.したがって,NASH の予防・治療には酸化ストレス軽減へのアプローチが重要であり,ビタミンE に代表される抗酸化薬による治療は有用性と安全性の両面から支持されている.
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