特集 緑内障の非眼圧的要素
3.抗酸化物質と緑内障進行予防との関連
結城 賢弥
1
1慶應義塾大学医学部眼科学教室
キーワード:
酸化ストレス
,
抗酸化物質
,
緑内障
,
活性酸素種
Keyword:
酸化ストレス
,
抗酸化物質
,
緑内障
,
活性酸素種
pp.589-594
発行日 2017年6月5日
Published Date 2017/6/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000000053
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緑内障は慢性進行性の神経変性疾患である。緑内障のリスク要因は加齢,緑内障の家族歴,薄い中心角膜厚,近視,乳頭出血,低い脳脊髄液圧など眼に関する因子から全身因子までさまざまなものが明らかになっているが,現時点で介入可能なものは眼圧のみとされている。多くの研究が眼圧は緑内障のリスク要因であると明らかにしてきた。2006 年からイギリスで行われたUKGTS ではラタノプロスト単剤の治療でプラセボ群と比較し緑内障進行が約50%抑制可能であったと示された。しかし実際はプラセボ群230 名中59 名に緑内障進行が認められたのに対し,ラタノプロスト群は231 名中35 名に進行が認められたという結果である。当然,さらなる抗緑内障薬の追加により視野障害進行症例数は減少すると思われるが,日常診療でも線維柱帯切除術や薬剤療法により正常下限以下の眼圧を達成しても視野障害が進行する患者は存在する。それゆえに緑内障には眼圧非依存的なメカニズムが存在すると考えられており,また眼圧非依存的な治療の代表として抗酸化治療が考えられている。
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