4 ．食道癌の治療（8）がん免疫療法の今後の展開

食道扁平上皮がんにおける治療開発は十分に進んでいないのが現状で，この数十年間，残念ながら生存期間の大幅な改善は認められていない．近年，他がん腫において免疫チェックポイントをはじめとしたさまざまな免疫療法の報告がなされるとともに，食道がんにおいても抗PD‒1 抗体薬での臨床試験で相次いでその有効性が報告されている．悪性黒色腫などの他がん腫同様，食道がんでもがんに対する免疫は存在し，がんを制御しうることが明らかとなりつつある．しかしながら，抗PD‒1 抗体薬単独での奏効率はおおむね10〜20％前後であり有効性を予測するバイオマーカーの探索やより高い効果を得るための併用療法が重要と考えられ，現在さまざまな臨床試験が行われている．