特集 透析患者の口腔合併症と口腔ケア
5.各種病態と基本的対応(1)透析患者の歯科Common disease b.義歯ならびに不適合歯冠修復物への対応,透析患者の歯科治療・抜歯の際の注意
原 巖
1
1恵光会原病院歯科口腔外科
キーワード:
透析
,
抜歯
,
抗血栓療法
,
口腔褥瘡性潰瘍
Keyword:
透析
,
抜歯
,
抗血栓療法
,
口腔褥瘡性潰瘍
pp.1525-1533
発行日 2025年12月10日
Published Date 2025/12/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000003667
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透析患者は,唾液分泌減少,低舌圧などの口腔機能の低下,口腔乾燥を原因とする慢性の根面う蝕による歯の破折,さらに歯周病罹患率の高さなどの口腔の諸問題があり,歯を失いやすく,義歯を中心とした補綴治療や抜歯などの歯科治療を要することが少なくない.その際には,透析患者の有する易感染性や出血傾向を考慮に入れた歯科治療が必要で,とくに抜歯などの観血的処置に際しては,透析導入期を避け,透析翌日に行うほか,抗血栓療法ガイドラインに沿った適切な対応が求められる.また,抗菌薬は腎機能を考慮したうえで減量投与し,術後感染に留意することが重要である.さらに,透析患者は高齢者が多く,歯科受診を手控える傾向があるため,各種補綴物が経年的に不適合となり,口腔粘膜を中心に褥瘡性潰瘍などの口腔障害を及ぼすことがある.自己管理が困難な患者には,医療者が補綴物の構造を把握し,口腔環境に加えて補綴物のチェックを定期的に行うのが望ましい.

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