特集 新規リン低下薬テナパノル症例集―使い方,副作用への対処
9.止痢薬の併用により,テナパノル塩酸塩の継続が可能になった使用経験
阿部 雅紀
1
1日本大学医学部内科学系腎臓高血圧内分泌内科学分野
キーワード:
テナパノル塩酸塩
,
軟便
,
下痢
,
血液透析
,
腹膜透析
Keyword:
テナパノル塩酸塩
,
軟便
,
下痢
,
血液透析
,
腹膜透析
pp.1261-1266
発行日 2025年9月10日
Published Date 2025/9/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000003582
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テナパノル塩酸塩(以下,テナパノル)による軟便・下痢の頻度は国外では22.1〜53.0%と報告されている.一方,わが国では63.1〜76.1%と国外に比べて頻度が高い.テナパノルのリン低下効果は大きく,わが国の透析患者のリン管理において期待されている.しかし,下痢による中止頻度も高く,本薬剤を継続して服用し,効果を十分に発揮するためには軟便・下痢対策が重要である.テナパノルによる軟便・下痢は軽度〜中等度であり,投与開始後の2週間以内に生じやすく,発症後2週間以内に軽快することも報告されている.そのため,本薬剤をスムースに導入・継続するためには,開始時の軟便・下痢対策が重要な課題である.ブリストル便形状スケールを用いて現在の便形状を確認しながら,今後予想される便形状について事前に患者に説明することで本薬剤の服薬アドヒアランスの向上が期待される.本稿では,テナパノルの投与開始時に止痢薬の併用により継続が可能であった症例を紹介する.

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