特集 新規リン低下薬テナパノル症例集―使い方,副作用への対処
6.テナパノル塩酸塩を投与しても,リン管理が改善しなかった使用経験
副田 圭祐
1
,
駒場 大峰
2
1小田原市立病院腎臓内科
2東海大学医学部腎内分泌代謝内科学
キーワード:
テナパノル塩酸塩
,
下痢
,
アドヒアランス
Keyword:
テナパノル塩酸塩
,
下痢
,
アドヒアランス
pp.1247-1251
発行日 2025年9月10日
Published Date 2025/9/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000003579
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血液透析患者の高リン血症管理について,KDIGOガイドラインは血清リン酸濃度を正常範囲に近づけること,日本透析医学会ガイドラインは3.5〜5.5 mg/dLを目標とし,食事制限,リン吸着薬の使用,十分な透析を推奨している.しかし,多量の内服の負担や食事制限の難しさ,胃酸分泌抑制薬併用による効果減弱などで達成は困難である.テナパノル塩酸塩(以下,テナパノル)は腸内リン吸収を抑える新規薬であり,NHE3阻害により細胞間からのリン流入を抑制する.国内試験で用量依存的なリン低下と少量からの漸増での効果が示され,従来薬の錠数削減も期待される.OPTIMIZE研究では,従来薬からの切替や半減+追加でリン低下と錠数減少が認められた.テナパノルは強力なリン低下作用が期待される一方,実臨床では十分な効果が得られない症例もまれではあるが経験される.そこで本稿では,テナパノル投与下でもリン管理が改善しなかった2例を提示し,その背景や特徴を考察する.併せて,テナパノルの特性や今後の課題,対策について論じる.

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