特集 透析患者の心臓病―診療の最前線を学ぼう
3.心不全(1)メカニズムと診断法
有里 哲哉
1
,
吉原 史樹
1
1国立循環器研究センター腎臓・高血圧内科
キーワード:
慢性腎不全
,
慢性心不全
,
心腎連関症候群
,
左室収縮能の保たれた心不全
Keyword:
慢性腎不全
,
慢性心不全
,
心腎連関症候群
,
左室収縮能の保たれた心不全
pp.21-28
発行日 2022年1月10日
Published Date 2022/1/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000002005
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末期腎不全患者における心不全の罹患率は高く,高血圧や糖尿病といったリスク因子を共有するのみでなく,双方向に影響しながら存在している.左室収縮能の低下を主体とした心不全の多くが心筋虚血と心筋症を原因とするのに対し,左室拡張能の低下を主体とした心不全(HFpEF)の原因は十分には解明されていない.HFpEFのリスク因子としては高血圧,肥満,糖尿病などが同定されており,高血圧性の変化は重要な機序であるが,近年炎症状態に伴う心筋の炎症,線維化,冠動脈の微小血管循環障害が注目されている.末期腎不全患者は貧血,鉄欠乏,CKD―MBD,体液過剰といった炎症状態を惹起する要素を複数もつため,これらがHFpEFに影響している可能性がある.
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