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内容のポイント Q&A
Q1 心腎連関症候群(CRS)の定義と分類は?
CRSは「糸球体濾過量(GFR)が低下しているために心不全のうっ血症状に対する治療が制限される病態」と定義されている.Roncoの分類ではCRSは5つに分類されている.
Q2 薬物治療や生活指導は?
急性心不全では,たとえ利尿薬使用によりpseudo-WRFを認めたとしても,うっ血解除は予後のために優先すべきである.ただし利尿薬抵抗性を伴う場合はtrue-WRFつまり予後不良であり,透析等のmechanical supportの必要性を念頭において対応する.
慢性腎臓病(CKD)stage 4~5における慢性心不全の標準治療薬のエビデンスは乏しい.stage 5では小規模なランダム化比較試験(RCT)ではあるがβ遮断薬の有効性が報告されている.stage 4においてはβ遮断薬,ACE阻害薬/ARBが比較的有効である可能性は高いが,腎機能増悪(WRF)や高K血症のリスクとともに総合的に判断すべきである.stage 3bまでのCKDではエビデンスが保たれており,レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS)阻害薬やSGLT2阻害薬導入後の軽度~中等度のWRFを認めた場合も使用を継続することが多い.
生活指導では,減塩を基本として,CKDの病期や尿蛋白量に応じて適宜たんぱく質・カリウム(K)・リン(P)の制限を加える.
Q3 心腎機能障害の合併により生じる注意点は?
心不全の病態や治療,腎不全の進行によって,体液量,血圧,電解質の異常が起こる.それに伴い心腎にさまざまな障害が起こり得る.貧血,骨・ミネラル代謝異常(CKD-MBD)といった腎不全関連併発症もまた心臓へ悪影響を及ぼし得るため適切な管理が必要である.
Q4 フォローすべき症状や検査は?
CRSでは体重および血圧の自己モニタリングに加え,うっ血や低灌流の指標,心機能,腎機能,尿蛋白量,腎不全関連併発症を定期的にフォローする.
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