特集 透析の開始・継続・見合わせ
10.透析困難症例における透析見合わせ
丸田 麻莉絵
1
,
丸山 祐子
1
,
舩越 哲
1
1衆和会長崎腎病院
キーワード:
血液透析
,
透析見合わせ
,
事前指示書
,
入院透析
Keyword:
血液透析
,
透析見合わせ
,
事前指示書
,
入院透析
pp.371-376
発行日 2021年4月10日
Published Date 2021/4/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000001682
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透析困難症とは,血液透析中または終了後に血圧が低下し,さまざまな苦痛を伴う病態の総称である.とくに高齢者においては改善が困難で,最期までこの病態に対応することが患者の尊厳やQOLに寄与するのか,つまりどこかの時点での透析の見合わせを家族や医療チームで検討せねばならない状況が生じうる.その際に基本となるものは患者自身が作成した事前指示書(AD)であるが,当院の透析患者において施行を希望する延命処置のうち,血液透析継続は32.5%であり,人生の最終段階を想定した場合でも,透析患者の透析に対する思い入れの深さが推測された.一方,患者自身のADにて透析継続を希望していたにもかかわらず,家族の希望で見合わせとなった症例もあり,その理由は全例が「自分の家族の強い苦痛を早く取り除いてほしい」であった.ADに示された本人の意思が反映されることは大前提であるものの,人生の最終段階では本人の意思確認ができない状況下がほとんどであり,その時点での信頼できる家族やキーパーソンによる判断は十分に尊重すべく,医療チームでも十分検討する必要があると考える.
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