〔症例報告〕
重篤な心停止後症候群に至った後も維持血液透析を継続した2 症例
大西 央
1
,
小林 高久
1
,
今井 利美
1
,
永山 泉
1
,
川又 睦
1
,
若林 奈津子
1
,
秋元 哲
1
,
齋藤 修
1
,
武藤 重明
1
,
長田 太助
1
1自治医科大学腎臓内科
キーワード:
心停止後症候群
,
透析見合わせ
,
事前指示書
Keyword:
心停止後症候群
,
透析見合わせ
,
事前指示書
pp.1219-1222
発行日 2019年8月10日
Published Date 2019/8/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000001027
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近年,透析患者において,高齢者や,心血管疾患や癌などの重篤な合併症を有する患者の増加がみられており,透析療法は社会復帰を目指す救命治療から延命治療という要素が強くなってきている.その状況を背景に,2014 年に日本透析医学会より「維持血液透析の開始と継続に関する意思決定プロセスについての提言」が発表された.透析非開始や継続中止(見合わせ)については,患者の自己決定がもっとも尊重されるが,患者に判断能力がない場合,家族と医療チームとの協議のうえ合意に至る必要があるとされている.しかしながら,患者が重篤な状態にあり透析継続・見合わせの意思を明示できず,家族が透析継続を希望する場合,循環動態への負荷による全身状態悪化の危険と向き合いながら,透析を継続せざるをえない場合も存在する.今回,重篤な心停止後症候群(post―cardiac arrestsyndrome;PCAS)に至り昏睡状態が持続するなかで,家族の意思を尊重して維持透析を継続した2 症例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.
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