特集 腎性貧血治療のこれまでと,その新しい展開
4.これまでの腎性貧血治療(3)腎性貧血治療の課題 b.透析期での課題
朝比奈 悠太
1
,
土井 洋平
1
,
坂口 悠介
2
,
貝森 淳哉
2
,
猪阪 善隆
1
1大阪大学大学院医学系研究科腎臓内科学
2大阪大学大学院腎疾患臓器連関制御学寄附講座
キーワード:
赤血球造血刺激因子製剤
,
エリスロポエチン低反応性
,
悪性腫瘍
,
貧血
,
透析
Keyword:
赤血球造血刺激因子製剤
,
エリスロポエチン低反応性
,
悪性腫瘍
,
貧血
,
透析
pp.47-52
発行日 2021年1月10日
Published Date 2021/1/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000001589
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赤血球造血刺激因子製剤(ESA)の登場は透析患者のQOL改善に大きく貢献した.しかしながら,ヘモグロビン値の正常化を目指した高用量ESAの使用はむしろ心血管イベントの増加などから予後を悪化させる可能性が懸念されている.少なくとも大規模臨床試験の結果からは貧血の完全な是正を意図したESA投与は推奨されない.この背景にはESA低反応性の問題があり,その対策は臨床的に重要な課題である.積極的鉄補充によるESA減量効果と予後の改善が報告されているが,本邦でのエビデンスの確立が今後必要である.最近,血液透析患者の高用量ESA使用と悪性腫瘍の新規発生の関係を示唆する研究も報告された.担癌患者へのESA投与と目標Hb値についてもさらに検証が必要である.
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