特集 AKI診療のエビデンスと課題
9.AKI とCKD のクロストーク
矢野 景子
1
,
佐藤 有紀
1
,
柳田 素子
1
1京都大学大学院医学研究科腎臓内科学
キーワード:
急性腎障害
,
慢性腎臓病
,
腎予備能
Keyword:
急性腎障害
,
慢性腎臓病
,
腎予備能
pp.635-639
発行日 2019年6月10日
Published Date 2019/6/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000000911
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近年の疫学研究において,急性腎障害(AKI)から慢性腎臓病(CKD)へ進展することが明らかにされている.また,AKI の実験動物モデルにおいても近位尿細管障害が糸球体硬化や間質線維化,腎性貧血などを引き起こすことも示されている.さらにCKD への進展を決定する因子として,障害の頻度や重症度,加齢のみならず,症例の腎予備能(RFR)低下の関与が示唆されている.RFR は生理的負荷に対する糸球体濾過量(GFR)の上昇幅で規定され,定常時のGFRの低下に先行してRFR が低下することから,より正確に腎機能を反映すると考えられる.本稿ではAKI からCKD への移行の病態生理,およびRFR に焦点を当て概説する.
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