特集 透析患者の残腎機能
【コラム】造影剤と残腎機能
安田 宜成
1
1名古屋大学大学院循環器・腎臓・糖尿病(CKD)先進診療システム学講座・腎臓内科
pp.432-434
発行日 2019年4月10日
Published Date 2019/4/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000000863
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ヨード造影剤を使用した画像診断は,日常臨床において必須の検査項目であり,多くの有益な情報をもたらす.しかし造影剤を使用することにより,造影剤腎症(contrast induced nephropathy;CIN)を起こし腎機能が低下するリスクがある.CIN のリスクは腎機能が低下した患者ほど高いため,尿量が保たれている透析患者に対しては,代替検査により同様の診療情報が得られるのであれば,造影検査は避けることが望ましい.一方で,透析患者において残腎機能を保つために,本来は必要な造影検査を行わないことは好ましくない.個別の症例において,造影検査により得られる診療情報などのメリットとCIN のリスクを考慮して,CIN のリスクを減らす予防対策を講じ,適切に造影検査を行う必要がある.本コラムでは,造影剤を使用する側の専門家である日本医学放射線学会と日本循環器学会,腎障害を診療する専門家である日本腎臓学会の3 学会より共同で発行され,最近改訂された「腎障害患者におけるヨード造影剤使用に関するガイドライン2018」を中心に透析患者を含む腎機能障害患者に対するヨード造影剤を使用した検査についてまとめる.
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