OPINION
患者自身の人生のなかで腎臓病を意味づける―真の個別化医療
古波蔵 健太郎
1
1琉球大学医学部附属病院血液浄化療法部
pp.253-254
発行日 2019年3月10日
Published Date 2019/3/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000000821
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最近,精緻医療(precision medicine)や個別化医療という言葉を耳にする機会が増えてきました.Precisionmedicine に関しては,とくに癌領域で個人の遺伝情報などに基づきより個人の特性に合った精緻な医療を提供できるように精力的に研究が進められています.先頃,開催されたアメリカ腎臓学会でもprecision medicine に関連したプログラムが多くみられました.腎臓の分野でも特定の遺伝子が腎障害の進展に関わっていることがいくつか報告されているものの,日常診療の場で幅広く応用されるまでには至っていません.しかし,実際,個々の患者の特徴に目を向けると,同じ原疾患病名でも腎障害の進展に関わる病態(炎症,糸球体高血圧や虚血などの血行動態異常など)が異なっていることに気づきます.したがって腎障害進展に関連する病態を介入可能な形として因数分解し“見える化”することで,個人の病態に合った最適な個別化医療を提供できると考えられます.
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