特集 透析患者における電解質・酸塩基平衡異常―透析液を含めて
14. コンピュータシミュレーションによるカルシウムの心機能に与える影響の検討
濱田 浩幸
1
,
山下 明泰
2
1九州大学大学院農学研究院生命機能科学部門システム生物工学講座
2法政大学生命科学部環境応用化学科
キーワード:
血液透析法
,
Ca2+動態
,
心拍動
,
計算機シミュレーション
Keyword:
血液透析法
,
Ca2+動態
,
心拍動
,
計算機シミュレーション
pp.237-242
発行日 2019年2月10日
Published Date 2019/2/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000000805
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臨床工学と電気生理学に基づく数理解析基盤を用いて,血漿Ca2+濃度が透析液Ca2+濃度よりも高い症例の血液透析治療中のCa2+動態が心筋細胞の拍動に及ぼす影響を精査した.まず,治療中の血漿および間質液Ca2+濃度の低下は細胞内Ca2+循環量を減少させ,拍動リズムの減速および収縮力の減退を引き起こした.次に,イオンチャネルなどのイオン電流の解析を通して,細胞内Ca2+循環量が減少する機序を検討した.数理解析は,治療中のNa/Ca 交換機構の活性化が細胞内Ca2+量を減少させ,心筋細胞拍動能を低下させることを示した.この解析例では,血漿Ca2+濃度に応じて透析液Ca2+濃度を高く設定すれば,心筋細胞拍動能の低下を抑制できると考えられた.
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