特集 透析患者における電解質・酸塩基平衡異常―透析液を含めて
11.透析患者で適正な酸塩基平衡の状態とは
山本 忠司
1
,
山川 智之
1
1仁真会白鷺病院
キーワード:
透析前pH
,
呼吸性アルカローシス
,
透析液重炭酸
Keyword:
透析前pH
,
呼吸性アルカローシス
,
透析液重炭酸
pp.211-217
発行日 2019年2月10日
Published Date 2019/2/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000000802
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透析患者の酸塩基平衡については血漿TCO2(HCO3-)濃度により評価されてきたが,その透析前HCO3-濃度の適正値については明らかでない.われわれの研究では透析前pH が良い指標であり,pH 7.30 未満,7.38 以上で死亡リスクが高い.pH 7.38 以上には呼吸性アルカローシスを合併する患者が約30 %含まれ,その死亡率も高く,呼吸性酸塩基平衡異常には注意が必要である.透析前HCO3-濃度は透析液HCO3-濃度により決定される.わが国の中央透析液供給システムでは,透析液HCO3-濃度の選択肢は限られているが,透析液HCO3-濃度は低いほうが有利である可能性が高い.血液ガス分析により病態を把握したうえで透析液は慎重に選択されるべきである.
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