特集 酸・塩基平衡
Introduction
酸・塩基平衡について
笹本 浩
1
Hiroshi Sasamoto
1
1慶応義塾大学医学部内科
1Department of Internal Medicine, School of Medicine, Keio University
pp.187-191
発行日 1967年3月15日
Published Date 1967/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201747
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はじめに
酸・塩基平衡についての最初の報告は,O'Shaughne—ssyがLancet (1:490, 1831)の編集者に投稿した細菌性コレラのアシドーシスに関する手紙であるとされている。その後100年以上の間,生理学者,化学者などの研究が続いたが,この間の経過や,いきさつについてはVan SlykeのPoints of acid-base historyとしう論文1)に詳しく出ている。
Astrupも指摘しているとおり,酸・塩基問題の理解を,今日でも困難にしている原因の一つは,nomencla—tureとdefinitionの混乱にあることは疑いない。
そこで,本稿では,主として,血液の酸・塩基化学(acid-base chemistry)におけるdefinition とter—minologyについて概説することとする。このことは,New York Academy of ScienceのAd Hoc Com—mittee1)もいっているように,最も大切なstatementであるからである。したがって,Ad Hoc Committee1)の意見はAnn. Int. Med.にも,Lancetにも,Ane—sthesiologyにも,Presse Medicaleにも掲載されており(これについては巻頭のElkintonの諭文を参照されたい),今回,わが「呼吸と循環」にも出ることになったわけである。
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