特集 透析患者における電解質・酸塩基平衡異常―透析液を含めて
12.無酢酸透析液の今
久野 勉
1
1池袋久野クリニック
キーワード:
透析液
,
無酢酸透析液
,
クエン酸
,
バイオフィルトレーション
,
オンラインHDF
Keyword:
透析液
,
無酢酸透析液
,
クエン酸
,
バイオフィルトレーション
,
オンラインHDF
pp.219-226
発行日 2019年2月10日
Published Date 2019/2/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000000803
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無酢酸クエン酸含有重炭酸透析剤(AF-BCD)の利点としては,循環動態の安定化,栄養状態の改善,抗炎症効果,患者の疲労度軽減などが報告されている.一方で,重炭酸イオン濃度が35 mEq/L であり,高齢者や食事たんぱく摂取の少ない患者では過度のアルカリ化の懸念があり,定期的な血液ガス分析による酸塩基平衡のモニタリングを行うことが望ましい.カルシウム(Ca)濃度については,高Ca 透析液としての性質と低 Ca 透析液としての性質の2 面性を有するため,その特性を理解して使用することが肝要である.またアセテートフリーバイオフィルトレーション(AFBF)は,酢酸もクエン酸も含有せず,炭酸水素ナトリウム補充液を個々の患者に合わせて注入するため,AF-BCD の弱点である過度のアルカリ化が回避される利点を有するが,個人用血液透析濾過(HDF)装置が必要となる.
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