特集 透析患者の糖尿病管理の新展開
7.インスリン療法
田中 伸枝
1
1東京女子医科大学糖尿病センター内科
キーワード:
糖尿病
,
透析患者
,
インスリン療法
,
血糖管理
Keyword:
糖尿病
,
透析患者
,
インスリン療法
,
血糖管理
pp.51-55
発行日 2019年1月10日
Published Date 2019/1/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000000769
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本邦における透析患者のうち,糖尿病患者の占める割合が高いことはよく知られている.透析医療の現場で糖尿病治療が必要になることは多々ある.近年使用可能となっている経口糖尿病薬により,以前よりインスリン使用例は減少傾向になりつつあるも,インスリン使用が必要な症例は依然として多い.透析患者はインスリン・クリアランスの低下や尿毒症の影響により血糖値が低下しやすい.また,腎性貧血などの影響によりHbA1c などの血糖の指標が必ずしも使用できず,また,持続血糖測定器(continuous glucose monitoring;CGM)などの血糖モニタリングも十分には普及していない.したがって,インスリンの使用には注意を要する.ただし,basal supported oral therapy(BOT)や,中間型や持効型インスリンなどを透析施設来院時に医療者が投与するなどの方法もあり,必ずしも透析患者においてインスリン療法を避ける必要性はない.透析患者におけるインスリン療法の意義に関しては,今後も,より良いエビデンスの確立が必要であると思われる.
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