インスリンを使用する高齢糖尿病患者のセルフケア上の問題状況と看護援助

Problems of Self-care and Nursing in Diabetic Elderly Undergoing Insulin Treatment

　糖尿病看護にたずさわる看護師が認識しているインスリンを使用する高齢糖尿病患者のセルフケア上の問題状況と，それをふまえた看護援助を明らかにすることを目的に研究に取り組んだ．データ収集は，糖尿病看護に関する自主的な勉強会に参加している糖尿病看護にたずさわる看護師14名を対象としたブレインストーミングと，7名への半構成面接により行った．その結果，問題状況は，【高齢者側の問題状況】として5つ，【医療者側の問題状況】として4つのカテゴリーが抽出された．また，看護援助として，［高齢者の手技習得能力のアセスメント］，［手技習得がしやすい支援と環境の整備］，［高齢者の状況に応じた支援の工夫］，［インスリン療法の受け入れのための支援］，［高齢者の状況変化の探索とキャッチ］，［低血糖予防への細心の注意］，［高齢者が納得したうえで受けられるサポート体制の整備］の7つのカテゴリーが抽出された．結果より，看護援助は問題状況の予防と対処を含んでおり，問題状況に対応しつつ予測的に援助することと，インスリンを使用する高齢糖尿病患者が主体性を発揮しながら自分らしく療養生活を過ごせるように支援することが重要であると考えられた．